何も知らない

つれづれなるままに、ひぐらし、じゃなくてときどき、スマホにむかひて、そこはかとなくかきつくる。

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備忘録/音楽とマリアと海

 

 恋をしているとき、セックスをしているとき、女性の身体を見ているとき、恋愛小説を読んでいるとき、私はとても死にたくなる。

 美しい音楽を聴いているとき、それが心に刺さったとき、私はとても死にたくなる。

 荘厳な建物や美しい絵画を見たとき、私はとても死にたくなる。

 地球の外側、はるか遠くの大きな星の山並みや風の模様を見たとき、私はとても死にたくなる。

 青い海に浮かび、黒い底を泳ぐ大きなクジラを想像したとき、私はとても死にたくなる。

 

 共通するのはただそこに人間には理解できない美しさがあって息が苦しくなる感覚があるだけである。生を感じているときがいちばん死にたいときである。