何も知らない

つれづれなるままに、ひぐらし、じゃなくてときどき、スマホにむかひて、そこはかとなくかきつくる。

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 精神科に入院していたときのことをよく思い出します。

 白い壁、白い床。発達障害のせいだからね、薬を飲んだらきっと良くなりますよと笑ってくれた先生は2日に1回、5分しか会えません。やわらかい魚の皮がのどに張り付いて、助けてと言えません。誰かの叫び声を遠くで聞きながら、1回の洗濯に1000円もかけて、ブラインドの隙間からずっと下の地面の枯葉を見ました。

 空になった薬の殻を見るたびに思い出します。